「やってしまった…」。車のキーをトランクの中に入れたまま、バタンと閉めてしまった。この、いわゆる「トランクインロック」は、ドライバーが経験する最も絶望的な状況の一つです。ドアは全てロックされており、スペアキーも手元にない。途方に暮れて、JAFや鍵屋を呼ぶしかないのか、と諦めかける前に、もしあなたの車がセダンタイプであれば、まだ希望は残されています。それが、「車内からトランクを開ける」という、最後の脱出ルートです。この方法を試すためには、まず、何とかして車内にアクセスする必要があります。残念ながら、これは鍵屋などの専門家の力を借りなければ難しい場合がほとんどです。しかし、もし、同乗者がまだ車内にいる場合や、奇跡的にどこか一つのドアだけが開いていた場合には、この知識が役に立ちます。セダンタイプの車の多くは、後部座席とトランクスペースが、背もたれ一枚で隔てられています。そして、この後部座席には、トランクスルー機能や、アームレストの裏側に、トランクへと通じる小さな開口部が設けられていることが多いのです。まずは、後部座席の中央にあるアームレストを倒してみてください。そこに、スキー板などの長尺物を積むための、プラスチックの蓋が付いていませんか。その蓋を開ければ、トランク内部へと通じる「希望の穴」が現れます。また、車種によっては、後部座席の背もたれ自体を、肩口にあるレバーやストラップを引くことで、前に倒すことができます(トランクスルー機能)。これにより、より大きな開口部を確保することが可能です。無事にトランク内部へアクセスできたら、あとは手や長い棒などを使い、中にあるはずのキーを探し出します。しかし、もしキーが見つからない場合でも、まだ諦めてはいけません。多くの国の安全基準では、万が一、人がトランクに閉じ込められた場合に備え、内部からロックを解除できる「緊急時トランクオープナー」の設置が義務付けられています。これは、暗闇でも光る、蓄光素材でできたT字型やL字型のレバーで、これを引くことで、内部から強制的にロックを解除できます。この存在を知っておくだけでも、絶望的な状況における、大きな心の支えとなるでしょう。
インロックしてしまった!車内からトランクを開ける方法