私たちの暮らしの中で、最も目にする機会が多く、そしてスペアキーを作る機会も多いのが、片側、あるいは両側がギザギザの山型になっている、いわゆる「刻みキー」でしょう。家の玄関はもちろん、勝手口、物置、ロッカー、机の引き出し、そして自転車の鍵など、その用途は多岐にわたります。このタイプの鍵のスペアキー作成は、鍵屋さんにおける最も基本的なサービスであり、その値段も、最も手頃な価格帯に設定されています。では、具体的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。ギザギザの刻みキーのスペアキーの値段は、主に「ブランクキー代」と「加工料」で構成されており、店舗にもよりますが、一本あたり500円から1,500円程度というのが、全国的な相場と言えるでしょう。この価格の幅は、主に、元となるブランクキーの種類によって生まれます。例えば、ごく一般的な住宅で使われている、片側だけがギザギザの「ピンシリンダーキー」であれば、500円から800円程度で作成できる場合が多いです。一方、鍵の両側がギザギザになっている、古いタイプの「ディスクシリンダーキー」や、一部の特殊な形状を持つ鍵の場合、対応するブランクキーの価格が少し高くなるため、1,000円から1,500円程度になることもあります。このタイプのスペアキーは、街の鍵屋さんだけでなく、多くのホームセンターの合鍵コーナーでも作成することが可能です。作業も非常にスピーディーで、元の鍵を専用のキーマシンにセットすれば、数分で、まるで双子のようなスペアキーが削り出されます。この手軽さと安さが、刻みキーのスペアキー作成の最大の魅力です。しかし、この安さには、一つ注意点があります。それは、このタイプの鍵は、構造が比較的単純であるため、防犯性という観点では、現代の基準では必ずしも十分とは言えない、ということです。もし、あなたが防犯性を高めたいと考えているのであれば、スペアキーを作るこの機会に、鍵屋さんで、より防犯性の高いディンプルキーなどへの、シリンダー交換の相談をしてみるのも、賢明な選択かもしれません。